この記事では幕末志士が学んだ剣術流派と、その特徴を簡単にご紹介します。
皆さんは「江戸三大道場」をご存知でしょうか?
江戸三大道場とは、幕末に江戸で流行った三つの道場を指します。
それがこちら!
江戸三大道場 | ||
流派 | 道場 | 開設者 |
鏡新明智流 | 士学館 | 桃井直由 |
北辰一刀流 | 玄武館 | 千葉周作 |
神道無念流 | 練兵館 | 斎藤弥九郎 |
「位は桃井、技は千葉、力は斎藤」と明治以降に評されていました。
自分の好きな志士が、どの流派を学んでいたのか気になりますね。
また剣術には段位や伝位といった、師匠から伝授される技能の段階があります。
「目録」や「免許皆伝」といったものです。
「免許皆伝」といえばとても強い剣豪!という感じがしますよね。
流派によって段階の数も名前も異なりますが、分かる範囲で合わせてご紹介。
また色んな流派を学んでいる人もいますので、同じ人物が違う流派に登場することもあります。
※伝位ではないものにはカッコ( )を使用しています。
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天然理心流
現代において1番といってもいいほど有名な流派ではないでしょうか。
新選組局長、近藤勇が天然理心流宗家4代目でした。
天然理心流は剣術だけでなく、子具足術(短刀、脇差)・居合・棒術・柔道を含む総合武術。
その特徴は持つのが大変なほど重くて太い木刀!
剣術稽古でこの木刀を使用したことで、真剣を持ったときに、その重さに負けることなく刀を振るえました。
実践的な技に重きをおいています。
天然理心流 伝位 | |
指南免許 | |
允可 | |
免許 | |
中極位目録 | |
序目録 | |
切紙 |
天然理心流門人 | ||
名前 | 何の人? | 伝位 |
近藤 勇 | 新選組局長 | 指南免許 (宗家4代目) |
土方 歳三 | 新選組副長 | 中極位目録 (師範代) |
沖田 総司 | 新選組 一番隊組長 |
指南免許 (塾頭) |
井上 源三郎 | 新選組 六番隊組長 |
指南免許 |
土方さんの伝位は現存する範囲のものです。
中極位目録ながら師範代も勤めていますので、実力はもっと上だったのかもしれませんね。
25歳のときに正式に入門、29歳のときには将軍警護のため上京。
この短い期間での中極位目録となると、すごいですね。
また土方さんに関しては、家伝の「石田散薬」を各地に売り歩きながら、行った先々で剣術指南を受けていました。
もしかすると自己流のクセもあったのかもしれませんね。
沖田さんは天然理心流宗家5代目に…と、実は近藤さんが指名していました。
しかし労咳(肺結核)のため、沖田さんは亡くなってしまったので叶わず…。
源さんはとても努力家で、10年かけて指南免許を授かりました。
北辰一刀流
幕末の江戸でとても栄えた流派で、江戸三大道場「技の千葉」です。
物理的に剣の技術だけを追求した合理的な指導は、とても分かりやすかったそう。
伝位が簡略化されたことも、人気の理由の一つ。
また北辰一刀流は、現代剣道の礎を築いたとされているんですね。
総合的な武芸で、剣術・長刀術などを伝えています。
NHK大河ドラマ「龍馬伝」では、剣術指南やエキストラ出演などもしているそうで、現在でも知名度が高いんですね。
北辰一刀流 伝位 | |
大目録皆伝 | |
中目録免許 | |
初目録 |
北辰一刀流門人 | ||
名前 | 何の人? | 伝位 |
山南 敬助 | 新選組総長 | 大目録皆伝 |
藤堂 平助 | 新選組のち 御陵衛士 |
中目録免許 |
伊東甲子太郎 | 新選組のち 御陵衛士 |
(道場主) |
吉村 貫一郎 | 新選組隊士 | 不明 |
阿比留鋭三郎 | 浪士組 (新選組の前身) |
不明 |
坂本 龍馬 | 土佐藩士 | 長刀兵法目録 |
毛利 吉盛 | 土佐藩士 | 不明 |
清河 八郎 | 庄内藩士 | 大目録皆伝 |
日比谷 健二郎 | 幕末の郷士 | 大目録皆伝 |
坂本龍馬は「玄武館」ではなく、京橋桶町の道場で修行しています。
龍馬さんの婚約者だったと言われる、千葉佐那さんがいた道場ですね!
鏡心明智流
のちに鏡“新”明智流に改められました、江戸三大道場「位の桃井」です。
「品格」といえば鏡新明智流!
剣術のみならず、居合・二刀(二刀流)、
契木術 も含んだ流派です。
※契木術…樫 の木の棒に、鎖分銅 がついている武器を使用した術。
鏡新明智流 門人 | ||
名前 | 何の人? | 伝位 |
岡田 以蔵 | 土佐藩士 | 不明 |
中岡 慎太郎 | 土佐藩士 | 不明 |
武市 半平太 | 土佐藩士 | 免許皆伝 |
有名な人では土佐藩士が多いですね!
中岡慎太郎は龍馬さんとともに行動していた志士です。
岡田以蔵は武市半平太を師として、天誅などのテロに参加し、「人斬り以蔵」として恐れられました。
神道無念流
他流派と比べて力の剣法とされており、江戸三大道場「力は斎藤」の神道無念流。
その特徴は「立居合」という立ったままのワザのみの居合です。
また竹刀の稽古では軽い打ち込みは認められません。
全力の打ち込みでなければ、「一本」としなかったほどで、まさに「力」の剣ですね!
神道無念流 門人 | ||
名前 | 何の人? | 伝位 |
芹沢 鴨 | 新選組筆頭局長 | 免許皆伝 |
永倉 新八 | 新選組二番隊組長 | 免許皆伝 |
平山 五郎 | 新選組副長助勤 | 免許皆伝 |
野口 健司 | 新選組副長助勤 | 目録または 免許皆伝 |
平間 重助 | 新選組副長助勤 | 目録 |
伊東甲子太郎 | 新選組のち 御陵衛士 |
不明 |
桂 小五郎 (木戸 孝允) |
長州藩士 | 免許皆伝 |
高杉 晋作 | 長州藩 奇兵隊創設 |
不明 |
渋沢 栄一 | 徳川慶喜家臣 官僚 |
不明 |
伊藤 博文 | 長州藩士 総理大臣 |
不明 |
藤田 東湖 | 水戸の学者 | 不明 |
永倉新八は「練兵館」ではなく、「撃剣館」で修行しています。
江戸の人気道場なだけあって、やはり有名人が多いですね!
ちなみに藤田東湖は「尊王攘夷」という思想を確立し主張した者のひとり。
薬丸自顕流
示現流 を習得した薩摩藩士・薬丸兼陳が編み出した「薩摩の流派」です。
とても豪胆な流派で、防御のための技はなく、最初の一太刀の威力が凄まじいことで恐れられました。
「一の太刀を疑わず、二の太刀は負け」というほど。
また猿叫といわれる「キエェェェ!!!」という掛け声が特徴。
アニメ「ゴールデンカムイ」に登場する「鯉登少尉」がまさにこの掛け声で戦っています。
ちなみに示現流では「チェーーースト!」と声を出して戦います。
では実際の薬丸自顕流だった方たちですが、伝位が全員不明です。
すみません…。
薬丸自顕流 門人 | |
名前 | 何の人? |
西郷 従道 | 西郷隆盛の弟・政治家 |
有村 次左衛門 | 井伊直弼を襲撃し 首級をあげた |
東郷 平八郎 | 海軍大将 |
大山 格之助 | 寺田屋事件・鎮撫使 |
江夏 仲左衛門 | 寺田屋事件・鎮撫使 |
鈴木 勇右衛門 | 寺田屋事件・鎮撫使 |
鈴木 昌之助 | 寺田屋事件・鎮撫使 |
奈良原 喜八郎 | 寺田屋事件・鎮撫使 |
山口 金之助 | 寺田屋事件・鎮撫使 |
弟子丸 龍助 | 寺田屋事件・九烈士 |
森山 新五左衛門 | 寺田屋事件・九烈士 |
寺田屋事件のときは「猿叫」が響き渡っていたのでしょうか。
通りかかったら声にびっくりしそうですね。
無外流
無外流居合は突きが主体で、斬り上げる動き(逆袈裟斬り)が多いのが特徴。
新選組・斎藤一がこの流派だったといわれています。
漫画「るろうに剣心」では斎藤一の技といえば「牙突」です。
牙突は「突きの構え」がカッコイイ技ですが、意外と流派の特徴をとらえていたのですね!
無外流 門人 | ||
名前 | 何の人? | 伝位 |
斎藤 一 | 新選組三番隊組長 | 不明 |
山内 容堂 | 十五代目土佐藩主 | 不明 |
心形刀流
心形刀流8代目の伊庭秀業が開いた練武館と、3大道場を合わせて、江戸4大道場ともいわれています。
心がまえに重きをおいており、心の鍛錬が第一、剣術の技は第二とされています。
剣術・居合・二刀(二刀流)・枕刀術を伝えています。
※枕刀…薙刀の形をした武器。
心形刀流 門人 | ||
名前 | 何の人? | 伝位 |
伊庭八郎 | 秀業の息子・旗本・遊撃隊・旧幕府軍 | 不明 |
永倉 新八 | 新選組二番隊組長 | (道場師範代) |
島田 魁 | 新選組伍長 | 不明 |
永倉新八と島田魁、この二人は心形刀流を修めた坪内主馬道場で出会いました。
新陰流
正式名称は「新陰流」ですが、一般的には「柳生新陰流」ともいわれています。
力ずくで相手を倒すのではなく、相手の動きに合わせて無理なく勝つという理念。
つまり「人を活かす剣」ですね。
剣を持った相手に、素手で対抗する「無刀取り」という技が特徴的。
新陰流 伝位 | |
皆伝 | |
内伝 | |
外伝 | |
目録 | |
仮目録 | |
天狗抄奥位 | |
天狗抄位 | |
小転位 | |
大転位 | |
表位 | |
入門 |
新陰流門人 | ||
名前 | 何の人? | 伝位 |
高杉 晋作 | 長州・奇兵隊創設 | 皆伝 |
まとめ
今回は幕末の有名な流派をご紹介しました。
剣術流派を見ていくと、それだけではなく人物同士の繋がりも垣間見えますね。
道場・流派の同門の繋がりって結構大きいように思います。
ともに修行したもの同士、特別な絆があるのかもしれませんね。
今回も最後まで読んでいただき、感謝しています♪
ありがとうございました!
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ではまた次回!以上、モモでした〜。
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